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曰く付きの土地に建ってしまった居酒屋、22時を回ると必ず人間ではないなにかが来店してしまう。客は怯えて入りが悪くなるしスタッフも怖がって辞めちゃうので店主は営業時間の短縮せざるをえなくなってたんだけど、ある日ラストまで希望でバイトの男の子が入ってくる。
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監禁されてた男の子が犯人の目を盗んでどうにか逃げ出したんだけど広大な屋敷の周りは鬱蒼とした森に囲まれてて、野生の狼に追われるうちに穴に落ちて身動きが取れなくなって、このまま死ぬのかもしれないって思ってたら翌朝血相変えた犯人が探し出してくれて「ああよかった…よかった…!」って
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朝から自己肯定感のカンストした息子4歳「太陽がついてくる、俺のことが好きなんだな」「さくらが咲いてる、俺のこと大好きなんだ」「見て、マーガレットもきれい、俺のこと(略)」
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一度寝たくらいで恋人面するなよ
VS
一度寝たのに他人面できると思うなよ
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地球人が飼われるようになったばかりの頃、地球人がよく言う言葉が「カエリタイ」とか「コワイ」とかそんなんばっかりだしいつも警戒してケージから出てこないからこういう生き物なんだね、かわいいねって思ってたらある日動画サイトに【地球人の本当の姿】って飼い主といちゃいちゃしてる動画が上がる
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運動会にいったら席がもう決まってたんだけど、体操もダンスも一番遠い席でなんで?って思ったのね。子供に「席遠かったぁ」ってこぼしたら「おれがくじ引きした席、だめだった?」って言い出したから「かけっこでゴールするところが真正面で見れた最高の席でしたよ」って人生で最速の手のひら返しした
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反社の男に囲われてる男の子、お金は腐るほどもらってるしそこそこ大事にされてるけど満足に外にも出してもらえないし不自由が多いな~好きだけどさ~って思いを持て余した末に、動画サイトで反社の旦那への愚痴をテロップで流しながら料理を作る動画をアップしたらめちゃくちゃ人気になってしまった話
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よく後日談を蛇足と言う人がいるけど読んでるこっちからしたら蛇に足描いたらそれはもう龍なんよって気持ちなのでじゃんじゃん後日談書いてほしいよ
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男の子が物心つく頃から自宅の縁側に巣を張ってたでかい蜘蛛、男の子が小学生になっても中学生になってもずっとそこにいるもんだからちょっとした家族みたいになってるし年々サイズアップして男の子が高校卒業するときには足含めて一メートルくらいになってて流石にこれ普通の蜘蛛じゃないなってなる話
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セックスのとき攻めから「しー」「大丈夫、落ち着いて」「君を愛しているよ」ってどろどろに甘やかされてた受け、殺されるときにもまったく同じ温度、声、仕草、目で甘やかされて(ああ、好きだなぁ)って思いながらゆっくり息の根止められてほしい
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隠居してたお祖父ちゃんが亡くなって遺産相続のために遺言状開けたら別荘一つと一億円が子供たちも孫たちも知らないどっかの若い男に相続されることになっててこいつ誰?ってなってたらじいちゃんの愛人だって言うしなんならお祖母ちゃんとアダ名で呼び合うくらい仲良くていやほんとに誰??ってなる話
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「えっと…おめでとう?」
「まだ付き合ってもいないです」
彼はこうした色事には疎いようだ。食い気味に言い返してきても、その顔は耳まで真っ赤だった。
二人がその後どうなったか。
男の子が照れ臭そうにバイトを辞めると言ってきて、あの神様も来なくなったのだからつまりそういうことだろう。
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泣きながら無事を喜んで甲斐甲斐しく傷の手当てをして看病してくれるから思わずときめくけど元凶はその男だよっていうあれ。好き。
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実は世界が滅んでてこの世にはもう男と男の子(滅んだことを知らない)の二人しかいない展開でもいいし普通に一般家庭の息子さんを誘拐しちゃった愛に飢えた男の話でもいいし記憶が男とで会う前まで後退しちゃった実は男のガチ恋人でしたってオチもいい。どこに分岐しても最高。
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「この辺りにはあまり人の手が入っていないから野生の獣がうろついててね、特に夜は危ないんだ…きちんと伝えておけばよかったね…その、君に不安な思いをさせたくなくて…」
十分不安です。
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「俺、家に帰れないの?」って絶望に苛まれながら男の子が尋ねたら、犯人は慈しみ深い笑みで男の子を励ますように手を握ってくれる。
「大丈夫。僕が側にいるからね」
元凶はお前。
話の通じないイカれたサイコ野郎から逃げる難易度の高さにさらに絶望。
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飛び出してきた犯人が自分の手で欠片を握りしめて止めてくれる。ぼたぼたこぼれる血を見て男の子は我に返るんだけど、監禁で心がすり減ってるせいで(俺はなんてことを)って自分を責めちゃう。元凶はあいつ。
慌てる男の子を無理矢理抱き締めて「大丈夫、僕は大丈夫だからね」って安心させてやる犯人。
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次の日から、手の怪我のせいで男の子の世話が満足にできなくなる犯人。
いつもは完璧な盛り付けの食事が乱れてたりとか、本人の着てる服とか髪型もちょっとよれてたりして責任を感じる男の子。いいぞ狂ってきたぞ。
「……ボタン、かけちがえてるよ」
「ああこれ?恥ずかしいな、急いでたから…」
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男の子が限界になって割った皿の欠片を向けても犯人は逆に男の子の心配をするんだよな。
「危ないよ、それはダメだ、離しなさい」
「じゃあここから出せよ!!出せ!!このくそったれ!!」
「握りしめちゃダメだ、血が…!」
で、思い余って男の子が自分の手首を傷つけようとしたら
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お金のない男の子が金持ちの男に「別宅住まわせてあげる代わりに管理して」って頼まれて、騙されてたらどうしようって思いつつその提案を飲んだらなぜかバイト代としてそこそこの額が振り込まれるしめちゃくちゃ良い肉とか果物とか送られてくるし極めつけに風邪引いてダウンしたら男が看病に来て
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香水なんてつけたこともない受けが男友達から調香師が組み合わせてくれたっていう香水をプレゼントされたことで興味を持って、友達に紹介されたお店にいったらそこの調香師の攻めからする匂いに惹かれて「同じやつがほしいです」って注文する。調香師はちょっとびっくりした顔しつつも自分のつけてる
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訴えられても嫌なので店主はしっかりと、この店が曰く付きであること、夜遅くに人間ではないものが来店すること、しかしいまのところ誰かが怪我をしたり死んだりはしてないということを伝えた。男の子は怯えることもなく平然と「構いませんよ」と快諾。
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DV彼氏が怖くて別れられなかった受けちゃん。DV彼氏が数日帰らなくて、逃げるなら今のうち、でもどこかで事故にでも遭ってたらって思ったら不安な気持ちもあってまごついてるうちに帰ってきちゃったんだけど、その彼氏が山奥で遭難してたんかってくらい泥まみれでぼろぼろだしぼんやりしてて
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男の子のバイト初日。店主と男の子しかいない店に人間ではないものが来店する。それは黒くて、不定形で、くぐもったおぞましい声を発する。店主が店の奥から様子をみてると、男の子は怖がるどころか声ひとつ震わさずに人間ではないそれに向かって「いらっしゃいませ、お一人ですか?」と尋ねた。
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返ってくるのは、やはり聞き取るのも恐ろしいざわざわとした不協和音のような声。しかし男の子はそれに対して、穏やかに微笑んだ。
「カウンター席とテーブル席はどちらになさいますか?テーブル席ですね。ご案内いたします」
他の客とまったく変わらない完璧な対応に店主は開いた口が塞がらない。