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おにぎりは洗濯機の中にあった。それは大量の衣服とともに洗われた。米や海苔、少量のからあげは水流の中でほぐれ、服たちと寄り添うことを願った。服たちも快くそれを受け入れた。妻から知らせを受けたおれは土下座のウォーミングアップに入った。 twitter.com/darekautaeyo/s…
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高級チョコレート店「DEMEL」のザッハトルテとトリュフ9粒入り、ハーゲンダッツを三つ、捧げものとして妻へ差し出した。三つのハーゲンダッツにはそれぞれ「日常での感謝」「変わらぬ愛情」「陳謝」という名があったが、それが告げられることはなかった。おれは土下座した。
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「まずなによりも、海苔」妻は静かに言葉を紡ぎだした。海苔は水流の中で「枚」という単位から解き放たれ、本来の姿を取り戻した。海苔は服たちと深い部分で抱擁しあった。それは分かちがたく愛し合うものたちの姿のようだった。「まるでぼくらのようだね」おれの言葉に返事はなかった。
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「からあげ、なかった?」おれが聞くと「ああ、あれからあげだったの?」と妻が笑いながら答えた。妻にとってそれがからあげであるかどうかは重要ではなかった。ただ、一番被害をもたらさなかった茶色い存在だった。その笑顔は笑顔ではなかった。からあげにされる前の鶏のようにおれは震えた。
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「そして米」妻が指さした洗濯槽には無数の穴が開いていた。その穴の一つ一つ、米たちはそこを棲み処と決めたらしかった。妻がねじ回しを持ってきて洗濯槽の底を外し、持ち上げた。そこには空洞があり、穴を抜け出た米たちは空洞を愛した。おれは変な声が出て、気が狂ったのかと思った。
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俳人と飲んでたら葱(冬)、獅子唐(秋)、茄子(夏)という季語的に俳句世界では存在できない野菜串盛り合わせが出てきて、突如出現した目の前の不可知領域に俳人たちがうろたえはじめるのとても良かった
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家の中でおにぎり紛失した??!!?!???!!???
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おかしい。おれは確かに朝おにぎりを作った。そして家に忘れてコンビニで昼飯を買った。米のぬくもりも、唐揚げ入れすぎてまったく包めずゲラゲラ笑ったのも、哀しみで塩辛い一風堂監修ラーメンも、すべて忘れられない記憶としてあるのに。帰ってもおにぎりだけが存在しない。おれが狂ってるのか???
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おれは洗濯機におにぎりを投入して土下座をするだけが生業ではなく、歌人としての側面もあった。妻がまだ妻ではなかった頃に、彼女を想って歌った短歌を『月を食う』という歌集に収めていた。こうやって並べると、少し恥ずかしい。ひとり百冊買ってほしい。
kadokawa.co.jp/product/321904…
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@miholyon ぼくもおにぎりどこいったんだろうと思ってました。永遠に思っていたかったです。
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ぼくは馬場あき子さんに「男が男の歌を引用して評論を書いて男の歴史を作ってきたんだよ」って言われて(まさかまさか……)と思いながら自分の評論見たら確かに男の歌の比率が高くて衝撃を受けたことがある。無意識のバイアスってのは恐ろしいものですよ本当。
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いいんだよ…歌集読んだことなくても…歌人知らなくても…好きな歌が一首でもあれば…短歌好きって言っていいんだよ…
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不思議なことに本は本好きの人間がわかるんですね。そのため本は本好きの人間を見つけると寄っていくんです。するとその人は本を見捨てることができず、家に大量の本を抱えることになり、無秩序に蒐集していくうちに適正数を大幅に越え、経済的にも破綻し、崩壊に至っている例が各地で
報告されている
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最近ソシャゲ始めたんよ、基本無料で、アイテムとギルドが課金制、マルチが盛んだけどソロでも楽しめるし、ことばを扱うゲームだから簡単に始められて、驚くことにプレーヤーには神様もいて、千年以上も続いてる大人気ゲームなんだ!一緒にやらない?短歌って言うんだけど…
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定価:3,200円+税
出版年月日:2014/05/25
ISBN:9784562050741
判型:A5
ページ:240ページ
harashobo.co.jp/smp/book/b3689…
書店で店員さんに聞くときはISBNを伝えるとスムーズかもしれないよ!