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俺は俺を救出せねばならぬゆゑ委細かまはず冷や飯かつ込む 島田修三
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逢うたびに抱かれなくてもいいように一緒に暮らしてみたい七月 俵万智 #短歌
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思いきり愛されたくて駆けてゆく六月、サンダル、あじさいの花 俵万智
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フォルテとは遠く離れてゆく友に「またね」と叫ぶくらいの強さ
╱千葉聡『そこにある光と傷と忘れもの』
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思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ 俵万智
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耳で飛ぶ象がほんとにいるのならおそろしいよねそいつのうんこ 穂村弘
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「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ 俵万智 #短歌
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サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい 穂村弘 #短歌
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やれそうと思われたのは悔しいが事実やったんだからまあいい 佐藤真由美
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だいじょうぶ 急ぐ旅ではないのだし 急いでないし 旅でもないし 宇都宮敦 #短歌
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眠るため消した電気だ。悲しみを思い返して泣くためじゃない
╱工藤吉生『世界で一番すばらしい俺』 #短歌
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a pen が the pen になる瞬間に愛がうまれる さういふことさ 大松達知
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この煙草あくまであなたが吸ったのね そのとき口紅つけていたのね 佐藤真由美