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地下道からの薄い光で水面は見えるものの、壁や天井は光が届く範囲にはないようで、どこまで続くか分からないほど広大な空間に思えたとか。その先のどこからともなく寄せては返すザザァ…ザザァ…という音にしばらく呆然としてたらしいんだけど急に怖くなって引き返してきたらしい。
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まあ下水?とか何かの設備かもしれないし酔っ払いの世迷い言かもしれないけど、「新宿駅の地下には海がある」って言葉が面白いし、新宿駅の雑踏が消えたときにどこからか波の音が聞こえてきたりしたら面白いなとか思ったりした
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彼が東京に越してきたばかりの頃、その日は新宿で夜遅くまで飲んでいた。そろそろ帰るかと思って駅に向かって地下道をとぼとぼ歩いていると、不慣れなせいか道に迷ってしまった。終電が近いと駅に向かう人の流れがあって分かりやすいものだろうけど、そのときは通行人がだんだんとまばらになっていき
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これは新宿の飲み屋で酔っ払いから聞いた話なんだけど「新宿駅の地下には海がある」という話を聞いたことがあって…まあ埋立地とかじゃないと思うし何のこっちゃと思って聞いてたんだけども、それはこんな話だった。
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最終的には変な階段にたどり着いたらしい。照明のない地下深くに向かう階段で、奥にはプレハブのような簡素なドアがうっすら見えた。怖いもの見たさでずんずん階段を降りてドアを開くと、真っ暗な空間からぶわっと塩の匂いと繰り返す波の音が流れ込んできて反射的に海だと思った。
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これはちょっと怖い話なんだけど…写真や映画に幽霊が写り込んでしまうことや楽曲に変な声が混じってしまうような話があると思うんだけど、文章に幽霊が入り込む話ってあまり聞かないじゃんか。僕の地元にはちょうどそんな話があって、それは実家の近くの図書館に伝わるこんな話だった。
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なんでも図書館の蔵書を借りて外で読んだ場合にはそんなことは起こらないらしいので、その図書館のなかで本から本へ行ったり来たりしてるのかなぁとか思いつつ、その姿を想像してみるとなんだか面白いなと思ったり
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その図書館の閲覧席で本を読んでいると、脈絡もなく「魚を食べる女」の描写が出てくることがあるという。なんだろうと思いつつ読み進めても後続のページでそれに触れられることはなく、読み終わってから該当のページに戻ってもそれらしき記述が見当たらない…特定の本に限らずこんなことが起こるとか