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この週末、気味が悪い出来事があり、対応してた。
10年前に公開した自作の小説が、何者かに加筆修正されていたことが発覚。もう過疎って久しい投稿サイトで、昨年約一年、毎月一章ずつ加筆修正されてた。
その人物が何の意図があってそんなことをしたのか、さっぱりわからない。→
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ことの発端は、私の作品のファンという方にdiscordに招待されたこと。いろいろお話している中で、自作を読み返していた。
エピローグ直前の締めに、明らかに追記された一文があった。
「脱ぎ捨てられたトレンチコートが風ではためいていた」的な。
この作品にトレンチコートという単語は出てこない。
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投稿サイトはwiki形式で、改変履歴はリスト化されてまとめられている。
見ると、過去一年、毎月一章ずつ、私の作品が修正されているようだ。
もちろん、私がした記憶はない。
なんだこれ。
私は改変された章を読み返すことにした。→
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大幅な「改竄」はされていない。ストーリーはそのままだし、「削除」されたシーンもない。
あくまでも「加筆」と、元の文との接続するための「修正」にとどまっている。
さらに加筆部分には共通点があった。登場する二人の女性が、誰かに会うシーンでの、服装と言動だ。
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彼女たちは決まって、大きめのトレンチコートを着込み、帽子を目深にかぶり、サングラスをかけ、みるからに変質者のような出で立ちで登場する。そして、ボタンを引きちぎりながらコートを脱ぎ捨て、姿を現すのだ。
重ねて言うが、この作品にトレンチコートという単語は出てこない。私の文ではない。
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笑われた方もいるかもしれないが、私は不気味で仕方なかった。
なぜなら、えらく巧みに加筆されていたからだ。
元の文を極力変更せず、接続部分は自然になるように変更。
加筆部分は、キャラクターの話口調をきちんと捉えており、地の文はわざわざ似せている。
初見ではわからないレベルだ。
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初めて読んだ人なら疑問に思わず読み進めてしまうだろう。
嬉しいことに、これから読みますというdiscord参加者がいた。
しかしこれではまずい。ヒロインとその宿敵が変質的な趣味を持っていると思われてしまう。
私は慌てて、本文の修正をdiscordに書き込んだ。
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夜遅かったので、翌日午前中に修正作業を行った。新しい話を書く時間を費やして。許すまじ。
修正も終わり、今は正常な物語を楽しんでいただける。
しかし、私がどうにもどうにも気味が悪いのは「なぜそんなことをしたか」という理由だ。
まったくわからない。
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例えば、話のラストが気に入らないなら、エピローグをまるっと書き換える。
誰かが死ぬのがいやなら、死亡しないような展開に直す。
この話が気に入らないなら、全部消してしまう。
これならわかる。私は困るけど。
だが、キャラクターの性癖描写を書き加えるというのは、理解できない。
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投稿サイトは管理人が不在になって久しく、誰でも編集ができる。
だからこんなことが起こるわけだが、それにしても10年ほどもまともに稼働していない投稿サイトの一作品に、執拗な加筆修正を行うのは、どういう動機から来るのだろうか。
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ちなみに、加筆されたままの文章を読むと、美しいシーンもぶち壊しである。なので、良心的な修正ではまったくない。加筆者の性癖博覧会なだけである。
拙作を読んでいただいた方なら、最終決戦直前の桜並木のシーンにトレンチコート脱ぎ捨てが加筆修正されたと知れば、怒ってくれると思う。
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自分の性癖を反映したものを発表したければ、自分で作品を書けばいいのではなかろうか。
他人の作品を修正することで欲求を満たすのは、作者にも読者にも迷惑でしかない。
ちなみに私の作品は私の性癖暴露大会に近く、いつも赤面しながら公開しています。
終わり。
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補足:
・実話です。だからオチなんてない。
・その投稿サイトで、直近で更新されていたのは例の加筆のみ。他作品の被害はなかった。
・小説はある作品の二次創作。
・私はただの一般人です。プロの小説家やライターの方をめちゃくちゃ尊敬してます。
・このスレッドがバズっていることが怖い。