2
コロナウィルスで兄が亡くなりました。
40代でした。
発症から10日で死亡、家族は濃厚接触者に。保健所からの自宅療養指示、入院先確保の困難。基礎疾患のリスク。
エクモ装着。火葬には立ち会えない。今見える世界。
皆様の安全を願い、遺族から見たこれらの現状をお伝えします。
3
【2日目】
咳が止まらず、発熱も続く。
解熱剤により落ち着いた際に果物を口にすることはできるが、体力はかなり落ちていた。
保健所より今後の指針の連絡。状況によってはホテルや病院を手配。変化なし/改善すれば引き続き自宅療養。
パルスオキシメーターが無く、SpO2の計測はできず。
4
【3日目】
パルスオキシメーターが届き計測。
SpO2は85%だったが、保健所からの指示は変わらず自宅療養。
呼吸困難が悪化し、親族の医師に相談したところ、すぐに救急車を呼ぶよう指示。
しかし搬送先が見つからず、出発できない救急車で酸素吸入。
数時間耐え、なんとか入院。
5
【1日目】
病院でPCR検査を行い、陽性が判明。
血中酸素飽和度(SpO2)は96%とギリギリ正常値で、保健所からの指示により自宅療養。
同居していた兄の妻と子どもは濃厚接触者となり、家族全員が自宅から出られなくなる。
6
【8日目】
急変。
100%の酸素吸入でもSpO2の値は60%を保てない。
心臓の働きも悪くなり、血圧の数値も極端に下がる。
腎機能も悪化し、心臓補助と透析を開始。全身が重篤な状態。
より高度な治療ができる病院を探すも、受け入れ先は無かった。
7
【5~7日目】
吸入に必要な酸素の量も安定。
心電図に変化があり、心筋症の可能性があるため投薬を増量。
肺の影も改善されてきているとの診断。
8
【4日目】
肺の広範囲にコロナ肺炎の症状があり、中等症Ⅱと診断。
それから酸素吸入により体調が少し回復。
自ら食事を摂り、家族への連絡もできた。
しかし数時間でSpO2の値が悪くなり重症に。
人工呼吸器の装着と挿管を行う。
この日が、兄が家族と会話をした最後の日となった。
9
【9日目】
心停止。
その後心臓マッサージにより心拍再開。
ECMOを導入するも、肺の状態はさらに悪化。
より高度なECMO治療ができる施設を探すも受け入れ不可。
病院でできる全ての治療を施したが良くならない状態。
両親が兄の家族と電話を繋ぎ、意識の無い兄へ応援の声を届けた。
10
【その後】
遺体はコロナ患者専用の袋に収納され、専門の業者が対応。
火葬場の受け入れ先もすぐには見つからず、離れた土地での火葬となりました。
また現在コロナ患者の場合、火葬場に遺族の立ち入りはできません。
自分が兄と会えたのは、お骨になってからでした。
11
コロナ禍以前のように葬儀ができないため、
故人を悼み、死を受け入れて心を整理する、ということがとても難しく感じます。
今はまだ実感できず、兄はどこかで生きている気がしてなりません。
毎朝遺影と顔を合わせていても、この事実が信じられない。
12
【10日目】
心臓が動かなくなり、強心薬を打つも回復が望めない状態に。
これ以上の自己回復は難しいとのことで、家族の到着を待ち、機器を停止。
死去。
13
兄は、複数の基礎疾患で重症化・死亡のリスクを高めてしまいました。
・睡眠時無呼吸症候群
・糖尿病
・高血圧
・高尿酸値
上記の治療も怠り、ワクチン接種は1度のみでした。
外食や移動も多くありました。
すべては不摂生と、コロナへの認識の甘さが招いた死に他なりません。
14
それにも関わらず、保健所/救急隊/医師・看護師・病院スタッフの方々は誠心誠意、兄を救うために力を尽くしてくださいました。
この場を借りて、多大なる感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
15
自分は家族のなかでは特に冷静な方ですが、買い物などで人ごみに紛れた瞬間に恐怖を覚え、呼吸ができなくなることがあります。
すれ違う人たちに対して、この人たちも誰かの遺族であったりするのかな、と考えるようにもなりました。
16
兄の死を無駄にしないためにも、自分と家族、大切な人たちを守れるよう気をつけていきたいと思います。
そして、兄がいたということを忘れずに、これからも前を向いて生きていきます。
17
皆様もどうか、ご自身の安全と身近な人たちを大事にしてお過ごしください。
そして兄と同じようにコロナに罹り、今も苦しんでいる方々の回復を心から祈っております。
18
回復を祈ってくださった方、悲しんでくださった方、何かできることはないかと声をかけてくださった方、思い出を語ってくださった方にも、同じように感謝しております。
年の離れた兄弟で、あまりお互いを語ることはありませんでしたが、たくさんの人に愛された、誇りある兄であることを知りました。
19
【最後にまとめ】
・若くても基礎疾患があると死亡するリスク
・自宅療養時には必ずSpO2を計測
・入院できるかは運
・人工呼吸器装着後は会話はできない
・ECMOを使用できるかは運
・さらに高度な治療は難しい
・火葬場に遺族は入れない
・コロナによる死後、遺族の心の整理は難しい
20
あと...もしものために、亡くなった後に誰に連絡を入れるのか、スマホやPC・口座など諸々のアクセス情報を家族にわかる形で残しておくこともおすすめします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
21
皆様。兄のために沢山の声をお寄せいただきありがとうございます。
ただただ無念で、戻ってきて欲しいと悔やむばかりですが、この出来事が皆様の安全の一助となりましたら幸いです。
22
今回の話は、あくまで私の身の回りに起きた1つの体験談です。
様々な立場により感じることも違って当然です。
状況は常に変化し、皆様の地域や置かれた環境、タイミングにより異なります。
COVID-19に関する情報は、ご自身で専門機関の発信をご確認くださいますようお願いいたします。
23
リプライやDMにつきまして。
大変申し訳ありませんが、お返事は控えさせてください。
多くの激励やお心遣い、そのほか様々なご感想、真摯に受け止めております。
24
最後に。皆様のお身体と心が健康でいられることを切に願っております。
そして皆様と大切な人たちの笑顔が、少しでも増えますように。
この度は誠にありがとうございました。