そのうち、その事も思い出さなくなった。随分経って飲み屋で霊能者と名乗る人間にその事を見てもらった。 「あ、可哀想にね、あなた本当にその神社に行くべきじゃなかった」 「はい?」 「あなたそっちの人よ、こっちに来ちゃったから、今のお父さんの子供ってことになったのよ」
朝、すぐに実家へ電話をかけて事情を聞いた。 「何だお前、山菜の煮込み食わなかったのか、ありゃあ美味かった」 「あれ何なんだい」 「さあ?でもじいさんも曾祖父さんもあの婆さんに色々食わしてもらっていたぞ。今まで忘れてたなぁ」 家族ぐるみで化かされていたのか。
普段はすぐそこにある川に、なかなかたどり着けない。まさか迷ったかな、と足取りが遅くなる頃、突然向こうに知らぬ神社が見えた。あ、これが祖母の言っていた……とすぐにわかったが、何故か足はふらふら吸い寄せられる。 「おうい、行っちゃいけんよぅ」 祖母の声が聞こえたが、足は止まらない。
神社の境内に一歩踏み入れた途端、私は近所の裏山の神社にいた。あれ、と我に帰ると、次第に色々な事を思い出し始める。登山に来ていた事、私の勤務する会社に山中の事業所などない事、見知らぬ女性を祖母と呼んでいた事。こうなると何だか全部夢だった気もしてくる。白昼夢だ。
そういえばここいらはむかし姥捨山だったか。いや、何とか体験と伝承に因果関係を結ぼうとするが、どう考えても正確なところはわからない気がした。ただ山で何かに取り込まれたのだ。何しに私を取り込んだのだろうなぁ、と考えてもとんとわからぬ。
「山で神社を見てもお参りしちゃあいけんよ」 私の地域ではこれが祖母から繰り返し言われた。他の地域ではあまり聞かない話だ。 聞けばないはずの神社が忽然と現れて、そこにふらふら入った者は帰らないそうだ。 わざわざ山中で知らない神社に参る必要もなかろう、私ははいはいわかったと返した。
私は仕事でよくその山によく入る。会社の小さい事業所が山道の脇にあって、たまにそこの野良仕事を手伝うのだ。その日も資材置き場の整理を手伝っていた。蝉の声が煩わしいが、昼になって暑くなるとかえって静かになった。私は全身汗だくで、事業所にひとこといって近くの川へ涼みに行くことにした。
ど、どうしたんだよ皆…こないだまでビーファイターの話してただろ 仮面ライダークウガとか…ウルトラマンガイアとか… あっ新しいやつも知ってるよ!グランセイザーとかさ、ジャスティライザーなんかゲーム持ってるぜ!へへ…なぁ何とか言ってくれよ……
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