51
想像すらできない
あなた 心寒い
絶望すらできない
ひとりでここで見てる
カネ出して 買えるもの
なにもかも 手に入れて
そんでイエスマン はべらして
檻の中の 幸せな王子
生命(いのち)さえ 終わりなく
ほしいもの なにもない
毎日が 満ち足りて
塀の中の 幸せな王子
52
外側だけ豪華
見ろ!オレ ピカピカで
まぶしくて 見えないね
見ろ!オレ キラキラで
中身は 謎めいて
見ろ!オレ スカスカで
ほんとは なにもないよ
見ろ!オレ ペラペラで
深みは まるでなくて
恋はしないよ
(I Don't Know What To Do)
愛もいらない
(I Don't Know What To Do)
53
見た目だけ
見かけだけ
文句は ないだろ オーノーノー
たけみつ(竹光)さ
この剣は けど
抜くことなんか ないからね
恋はしないよ
(I Don't Know What To Do)
愛もいらない
(I Don't Know What To Do)
54
見た目だけ
見かけだけ
文句は ないだろ オーノーノー
ニセモノさ
まがいもの けど
この世はすべて インチキだろ!
見ろ!オレ ズタボロで
鉛の 体重い
見ろ!オレ 悲しみで
なみだが あふれてる
55
眠くなる
いつだって なぜだか
そう 考え事を していると
ね む くなる
意識が ホワイトアウト
眠くなる
難しい 話は
ああ 疲れるよ
簡単に できないの
体も メ〜ルトダ〜ウン
羊水のなか 漂う
あのころの やすらぎが
夢のなかで よみがえる
もしかして 死んじゃったのかな?
56
王 子 世界に存在する富には限りがあると仮定すると、ある者が勝利すれば、そうでない者が敗者になり、その逆もまた真だ、という理論が成立する。
この考え方に立脚すると、成功、特に経済的成功は、他者の失敗という犠牲があってはじめて可能になることになる。
57
コーラス ゼロサム・ゲーム
王 子 すべてはゼロサム
コーラス ゼロサム・ゲーム
王 子 すべてはゼロサム・ゲーム
ツバメ 誰かの成功は、誰かの失敗。(×3)
58
田 村 誰かの財産が増えると、誰かの財産が減る。
王 子 状況をゼロサムであると考えると、他人を競争相手とみるため、他人に対し競争的にふるまうようになる。
内 河 誰かの財産が増えると、誰かの財産が減る。
王 子 ゼロサム思考は社会における不公平を引き起こす可能性がある。
59
コーラス ゼロサム・ゲーム
王 子 すべてはゼロサム
コーラス ゼロサム・ゲーム
王 子 すべてはゼロサム・ゲーム
ツバメ 誰かの成功は、誰かの失敗。
60
コーラス ゼロサム・ゲーム
王 子 すべてはゼロサム
コーラス ゼロサム・ゲーム
王 子 すべてはゼロサム・ゲーム
61
ツバメ 誰かの成功は、誰かの失敗。
誰かの成功は、誰かの失敗。
誰かの成功は、誰かの失敗。
誰かの成功は、誰かの失敗。
誰かの成功は、誰かの失敗……
(曲終わって)
ツバメ 誰かの成功は、誰かの失敗……ほんとかな?
62
オレがこの高台に建てられて、すでに500年近い時が流れた。その間、人々の争いは絶えることなく、この国の支配者は何度も何度も交代した。だが、オレは黙ってここに立ち続けるしかなかった。黙って、世の移り変わりを眺めているしかなかった。いつか人々が自分たちの愚かさに気づくのを待っていた。
63
王 子「ありがとう、小さなツバメ」
ツバメ「小さな、はいらない」
王 子「でも実際、小さいじゃないか。身長はどれくらいあるんだ?」
ツバメ「教えない」
64
ツバメ「ゼロサムって?」
王 子「難しく言うと、複数の人間がたがいに影響しあう状況の中で、全員のプラスとマイナスを合計すると、総和は常にゼロになる、ということだ」
ツバメ「簡単に言うと?」
王 子「どんなものにも、勝つ人がいると負ける人がいる」
ツバメ「で?」
65
王 子「責任逃れだからだ。最後には何でも神のせいにする」
ツバメ「傲慢だな」
王 子「傲慢?おまえこそ怠慢だ」
(緊張したアクセント)
王 子「強情だな」
ツバメ「強情だな」
(王子とツバメ、笑う)
66
ツバメ「やっぱり、もう何も見えないのか?」
王 子「見えない」
ツバメ「そうか」
王 子「でも、音は聞こえる。それに、見えなくなって、少し楽になった気がする」
ツバメ「どうして?」
王 子「悲惨なことや、辛いことを、これ以上見なくてもすむから」
67
ツバメ「でも、美しいものや、うれしいことも見られないんだぞ」
王 子「来年の春に、おまえが新しい目を持ってきてくれるんだろ?」
ツバメ「来年の春は、ムリだ」
王 子「どうして?」
ツバメ「オレは、この冬、ずっとあんたと一緒にいることにした」
王 子「え?」
68
ツバメ「だって、あんたには足だけじゃなくて、やっぱり目も必要だろ。オレがあんたの目になる」
王 子「ダメだ。おまえはエジプトに行かなくちゃいけない」
ツバメ「オレはあんたと一緒にいる。それは、そうすることが正しいと、オレが思うからだ」
69
ツバメ「オレ、もうダメだわ……ちょっと寒すぎる」
王 子「そうか……」
ツバメ「お別れに、あんたの手にキスしてもいい?」
王 子「キスするなら、くちびるにしてくれ──オレももう、手に感覚がない」
ツバメ「わかった」
70
王 子「ちょっと寂しくなるけど、エジプトでゆっくり羽根を伸ばすといい……」
ツバメ「……わかってるだろ?行き先はエジプトじゃない」
王 子「……」
71
ツバメ「あんた人間だったとき、一度死んだんだよね?」
王 子「ああ……」
ツバメ「死って、眠りの兄弟、だよね?」
王 子「そうだな……」
ツバメ「……じゃあ、おやすみ」
王 子「……そしてツバメは、幸福の王子のくちびるにキスをして、足元に落ちていきました」
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バカか、おまえらは!
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来年はこちらから。 twitter.com/nigero_stage/s…